上岡さん@ヴッパータール交響楽団

体調を考えて長尺物のワーグナーシュトラウスは自粛して来たのですが、少し体調も上昇基調になりつつあるので、チケットを人に譲らずに持っていたコンサートを聞きに横浜みなとみらいホールに。

上岡龍太郎、おっと違った、上岡敏之さんは大野和士さんとならんで欧州大陸でオペラ劇場をベースに活躍中の人、しかも(関係ないですが)ほぼ同世代人ということもあって、聴いてみたかったのです。

曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲Kv.488とブルックナーの7番。協奏曲は弾き振りです。まろやかな音がホールに滲み入るようなモーツァルト

20分の休憩の後にブルックナーの7番。これが驚きの代物でした。とにかくゆっくりで長いのです。1楽章だけで30分かかるのです。

驚いてこっそりとプログラムを眺めるとノヴァーク版でもなくハース版でもなく、シャルクやニキシュが加筆したスコアから指揮者が取捨選択した、とのこと。それを本拠では9月に演奏し話題になったそうです。
(私がチケットを買ったのは春でしたが。)

テンポが超低速な割りに上岡氏の指揮は運動量が多く、時には指揮棒を両の手で持って前に振り下ろす薪割りのようなポーズを取るのが印象的でした。

7番としては異例な一時間半の演奏に肝を抜かれたか、今日の心やさしい聴衆はおよそ15秒間の静寂を演奏終了後に与えました。

アンコールはローエングリンの一幕への前奏。シンバル氏の今日二回目の出番に慶賀慶賀。

楽員が去った後に鳴りやまぬ拍手に何度か舞台に戻る上岡氏。ここからが驚きなのですが、楽員達もがまたもや舞台に戻ってきて拍手に応えます。

終了後はCD即売とサイン会で長い列が出来ていました。私は後に用があるのでホールを去りました。

前提知識はなかったのですが、ともかく驚きの演奏会でありました。ややもすればムード的に演奏される7番が多いのでこういうブルックナーも有っていいのかな、と思います。今度はブルックナーよりも彼が振るオペラを聴きたいな、と思います。


※追記です。
どうやらブルックナーで発信量の多い評論家さんのお勧めだったようですね。「有名オケでもないのにこの観客数は?」と思っていたので謎が一つ解けました。

オペラでは新国立の08年6月公演のトラヴィアータを振る予定らしいです。ドイツものを期待したいのですが。