新国立劇場にて「フィデリオ」

下の日記に書きましたように、まぁ予定が空いたから行ってみるか、の感覚でした。私は、どうもベートーヴェン先生の道徳的な夫婦愛物語よりも、恋だ、喧嘩だ、殺しだ、戦いだ、のイタリアオペラやワーグナーが好みでして。。。(笑)

結論から言います。良かったです。舞台装置の重厚な石の存在感がいいです。牢獄の閉塞感が出ています。照明も明暗の対称が明確で、中間の色は微妙に変わっていく感じで、私の好みですねぇ、こういうのは。

序曲が鳴っている間にレオノーレが赤いドレスの上着を脱いで粗末な色の男性の服(菜っ葉服?)を着ていくアイデアも納得がいくもので、しかも色の対比がいいですね。

時折運び込まれる囚人達が暴力を加えられ、獄に放り込まれるのもリアルな感じです。

オケはテンポをもっと煽って欲しかったのですが、まあまあ重厚な音が出ていました。最近のテンポの速めのベートーヴェンとは違った、やや穏やか目の音楽です。(ラトルなら、どうのこうの、なんて贅沢は言いません。ハイ。)

歌手では、レオノーレのフォンタナ、ヤッキーノの吉田さんがベスト2です。
フロレスタンのモーザーもフラット気味ながら、強い声で押していました。
ロッコのチャマーも良かったですね。ドン・ピツァロのエグリーティスは、、御免なさい、印象が薄いです。

そして、合唱!上手いです! 声の音圧、密度、ニュアンス共に来日オペラ団よりも良いかも、と思いました。

一つ、気がついたこと。この劇では男装のレオノーレに恋をしていたマルツェリーネには救いがなくて可哀想なのですが、今回の演出では、
「やっだぁ〜、まっさかぁ〜、女の人だったのぉ〜(泣)」
と悲嘆にくれる様子の彼女が、やがて渋々とレオノーレに元の赤い靴と赤い上着を着せてあげる、という和解の心情を見せてくれ、良い解決だと思いました。

囚人達が、最後には皆が新郎となり、お嫁さんを伴う、という演出だけ、違和感がありました。よく意味が解りません。まあ、女性達がドレスを着て綺麗に見えるのでいいですが・・・(笑)


で、CLASSICAさんが震源となり流行中の(笑)北斎漫画制作キットでまた遊びました!

今回の東フィルはベートーヴェンらしく大編成にしましたし、合唱(爆)もいます!


Florestan in dungeon



The arrival of Don Fernando